ニホンザルは、山林だけでなく、集落周辺や農地、住宅地にも出没することがあります。

農作物を食べるだけでなく、庭木や家庭菜園への被害、住宅周辺への侵入、ごみや食べ物への接近など、生活圏での被害につながることがあります。
また、人に慣れた個体では距離を詰めたり、威嚇したりする場合があります。
ニホンザルへの対策では、単にその場から追い払うだけでなく、
- 食べ物を与えない
- 集落に食べ物を残さない
- 人を見ると逃げる状態を維持する
- 農地や住宅への侵入を防ぐ
ことが重要です。
ニホンザルの特徴
ニホンザルは、日本各地の山林などに生息するサルです。
外見
成獣は中型犬程度の大きさで、全身が茶褐色から灰褐色の毛に覆われています。
顔や尻の部分は赤みを帯びています。
長い尾を持つ海外のサルとは異なり、ニホンザルの尾は比較的短いことも特徴です。
群れで行動します
ニホンザルは、複数の個体からなる群れで行動することがあります。
群れが農地や集落を利用するようになると、一度だけではなく繰り返し出没する場合があります。
一方で、群れから離れたオスなどが単独で移動していることもあります。
学習能力が高い動物です
ニホンザルは学習能力が高く、
「ここには食べ物がある」
「人がいても危険ではない」
「この時間なら人が少ない」
といったことを学習する可能性があります。
そのため、餌付けや農作物の放置などによって、人の生活圏を利用する習慣がつくと、被害が継続しやすくなります。
主な痕跡
ニホンザルは姿を直接確認できることが多い動物ですが、農地や周辺環境に残った痕跡から出没を確認できることもあります。
足跡
前足・後足ともに、人の手足に似た5本の指があります。
地面の状態が良い場所では、指まで比較的はっきり残ることがあります。
ただし、地面が硬い場合や落ち葉が多い場所では、足跡が確認できないこともあります。
食痕
農作物では、
- トウモロコシ
- 果樹
- 野菜
- イモ類
- 豆類
などが食害されることがあります。
必要な部分だけ食べて残したり、複数の作物を次々と荒らしたりする場合があります。
フン
ニホンザルのフンは、人のものに似た形状になることがあります。
食べたものによって形や色が変化するため、フンだけで動物種を断定することは困難です。
木や建物への移動痕跡
ニホンザルは木登りが得意で、樹木、塀、屋根、電線などを利用して移動することがあります。
住宅周辺では、
- 屋根
- ベランダ
- 雨どい
- 庭木
- 塀
などに現れることがあります。
主な被害
農作物への被害
ニホンザルによる代表的な被害の一つです。
野菜や果樹などさまざまな農作物を利用します。
一度農地を餌場として覚えると、繰り返し出没する可能性があります。
また、群れで侵入した場合には短時間でも被害が広がることがあります。
家庭菜園・庭への被害
住宅地でも、
- 家庭菜園
- 果樹
- 柿
- 栗
- 生ごみ
- ペットフード
などが誘引物になることがあります。
庭に食べ物がある状態が続くと、住宅周辺を安全な餌場として利用するようになる可能性があります。
住宅周辺への侵入
屋根やベランダなどに上がることがあります。
窓や網戸の近くまで接近する場合もあり、人に慣れた個体では網戸や建物を損傷することがあります。
人への威嚇
ニホンザルに近づいたり、追い詰めたりすると、
- 歯を見せる
- 声を出す
- 飛びかかるような動きをする
- 近距離まで接近する
などの威嚇行動をする場合があります。
特に、子どもや高齢者が不用意に近づかないよう注意が必要です。
ニホンザルへの対策
ニホンザル対策では、
「食べ物をなくす」「侵入を防ぐ」「人を怖がる状態を維持する」
という考え方が基本になります。
1.餌を与えない
野生のサルに餌を与えないでください。
一度でも人から食べ物を得る経験をすると、人に接近するようになる可能性があります。
意図的な餌付けだけでなく、
- 生ごみ
- 収穫しない果実
- 廃棄する農作物
- ペットフード
- 野菜くず
なども実質的な餌になります。
2.誘引物をなくす
集落や住宅周辺に食べ物を残さないことが重要です。
特に、
- 柿や栗などの放置果実
- 収穫残さ
- 家庭菜園の収穫物
- 生ごみ
- 屋外のペットフード
などを確認します。
「サルのために置いている餌」でなくても、サルが食べられるものは誘引物になります。
3.農地への侵入を防ぐ
農地では、防護柵などによる侵入防止を検討します。
ただし、ニホンザルは木登りやジャンプが得意なため、通常の低い柵だけでは侵入されることがあります。
周囲の樹木や構造物が侵入経路になっていないかも確認する必要があります。
4.追い払いを継続する
安全を確保できる範囲で、集落や農地に現れたサルを追い払うことも重要です。
特定の場所だけで追い払っても、別の場所では何もされない状態が続くと、サルが集落を利用し続ける場合があります。
そのため、「人の生活圏に入ると落ち着いて食べられない」
という状況を継続して作ることが重要です。
5.侵入経路を確認する
住宅や農地では、
- 庭木
- 塀
- 屋根
- 電線
- 防護柵周辺の樹木
などが移動経路になる場合があります。
サルがどこから来て、どこへ移動しているかを確認すると、対策する場所を絞りやすくなります。
サルを見かけたときの注意
ニホンザルを見かけても、不用意に近づかないでください。
特に、
- 餌を与える
- 食べ物を見せる
- 至近距離から撮影する
- 追い詰める
- 子どもだけで追い払う
といった行動は避けてください。
威嚇された場合は、無理に追い払おうとせず、距離を確保してください。
やってはいけないこと
餌付けをする
被害拡大につながる可能性があります。
見ているだけで放置する
人を怖がらなくなり、集落を利用するようになる可能性があります。
(ただし、サルは威嚇として反撃してくることがあります。威嚇に怯えてしまうと人間は弱い生き物だと覚えさせてしまうため、
食べ物を屋外に放置する
生ごみや果実なども餌になります。
危険な距離まで接近する
人に慣れている個体でも野生動物です。
無許可で捕獲する
野生鳥獣の捕獲には法令上の手続きが必要な場合があります。
相談するときに教えてほしいこと
ニホンザルについて相談する際は、分かる範囲で次の情報を教えてください。
- 目撃した場所
- 日時
- 個体数
- 単独か群れか
- 被害内容
- 食べられた農作物
- 出没する頻度
- 人への威嚇の有無
- 移動してきた方向/逃げた方向
- 写真や動画
継続して出没している場合は、日時や個体数を記録しておくと、群れの行動や出没傾向を把握しやすくなります。
ニホンザルでお困りの場合は、けもの相談所へ
「サルが家の近くまで来る」
「畑が繰り返し荒らされている」
「どこから侵入しているのか分からない」
「追い払っても何度も戻ってくる」
といった場合は、出没状況や周辺環境を確認しながら対策を考える必要があります。
けもの相談所では、単に捕獲することだけを前提とせず、
出没状況の確認 → 誘引物の確認 → 侵入経路の確認 → 追い払い・防除 → 継続確認
という流れで状況を整理します。
動物種がニホンザルか分からない場合でもご相談ください。