アライグマの特徴と対策

アライグマは北米原産の中型哺乳類で、日本では特定外来生物に指定されています。

目の周囲を覆う黒い模様、白いひげ、しま模様のある尾が代表的な特徴です。前足の指を人の手のように器用に使い、木や建物を登る能力にも優れています。農作物への被害だけでなく、家屋への侵入や在来生物への影響も問題となっています。

アライグマの特徴

体は灰褐色で、成獣は中型犬ほどの大きさになることがあります。

見分ける際の主な特徴は、次のとおりです。

  • 目の周囲に黒いアイマスク状の模様がある
  • 口元とひげが白い
  • 尾に5~7本程度の明瞭なしま模様がある
  • 前足と後ろ足に、それぞれ5本の指がある
  • 指が長く、人の手のように見える
  • 木登りや建物を登ることが得意

夜間を中心に活動しますが、昼間に活動することもあります。屋根裏、壁の隙間、樹洞、神社や寺院などを休息や子育ての場所として利用します。

アライグマの主な痕跡

足跡

アライグマの足跡には、次のような特徴があります。

  • 指の跡が5本ある
  • 指が細長く、手のひらのように見える
  • 指の跡がそれぞれ独立して残りやすい
  • 前足と後ろ足で形や大きさが異なる
  • 泥の上では、人の小さな手形のように見えることがある

アナグマやハクビシンも5本指の足跡を残します。足跡だけで断定せず、尾の模様、食べ方、侵入場所、センサーカメラの映像なども組み合わせて確認します。

泥や汚れの跡

アライグマは前足を器用に使うため、建物や農作物に手形のような汚れが残ることがあります。

雨どい、柱、壁、果樹の幹、ぶどう棚などに泥の跡が付いている場合は、登った経路である可能性があります。

ただし、アライグマは爪だけに頼らずに登るため、はっきりとした爪痕が残らない場合もあります。

食痕

アライグマの食害には、前足を使った特徴的な痕跡が残ることがあります。

ぶどうでは、袋を裂いて中の果実を食べ、袋や果実に泥汚れが残ることがあります。

スイカでは、直径5~6cm程度の穴を開け、前足を入れて中身をくり抜くように食べることがあります。果樹に登った際に、枝が折れる被害も発生します。

ふん

アライグマは、同じ場所に繰り返しふんをすることがあります。

ただし、ふんの色や形は食べたものや季節によって変わります。果実の種、昆虫の一部、動物の毛などが含まれる場合がありますが、ふんだけで動物種を断定することはできません。

ふんには寄生虫や病原体が含まれる可能性があります。素手で触れたり、乾燥したふんをほうきで掃いて舞い上げたりしないでください。

アライグマによる主な被害

農地・果樹への被害

アライグマは雑食性で、果実、野菜、穀類、昆虫、小動物など、さまざまなものを食べます。

農地では、次のような被害が起こることがあります。

  • ぶどう、イチゴ、スイカ、トウモロコシなどの食害
  • 果実袋の破損
  • 果樹への登攀による枝折れ
  • ネットや柵の破損
  • 農作物への泥汚れ
  • 養魚、家畜飼料、鶏卵などへの被害

アライグマは登る能力が高いため、一般的なネットや金網だけでは侵入を防げない場合があります。

家屋への侵入

住宅、物置、倉庫、神社、寺院などでは、次のような被害が起こることがあります。

  • 屋根裏や壁の内部への侵入
  • ふん尿による天井の染みや悪臭
  • 断熱材や建材の破損
  • 足音や鳴き声
  • 軒、通風口、屋根の隙間の拡大
  • 子育て場所としての継続利用

床下の通風口、壊れた軒、瓦屋根の隙間、増築部分の継ぎ目などが侵入口として利用されます。

生態系への影響

アライグマは農作物だけでなく、両生類、爬虫類、鳥類、昆虫などの在来生物も捕食します。

そのため、単なる家屋侵入や農業被害の問題ではなく、地域の生態系へ影響を及ぼす外来生物として対策が必要です。

アライグマへの対策

1.餌になるものを取り除く

アライグマを住宅や農地へ引き寄せるものを減らします。

  • 生ごみを屋外に放置しない
  • ペットフードを夜間に残さない
  • 落果や収穫残さを片付ける
  • 廃棄する野菜や果実を農地に置かない
  • 飼料や米ぬかを密閉して保管する
  • コンポストやごみ箱のふたを固定する
  • 利用していない果樹を放置しない

農地や住宅周辺に食べ物が残っていると、継続的な餌場として利用されます。捕獲だけを行っても、餌場が残れば別の個体が来る可能性があります。

2.侵入経路を確認する

建物や農地の周囲を確認し、次のような場所を探します。

  • 床下の通風口
  • 壊れた軒や屋根
  • 瓦や外壁の隙間
  • 配管や増築部分の継ぎ目
  • 雨どい、柱、樹木
  • 柵やネットの破損
  • 泥の手形や足跡が集中している場所
  • 繰り返し枝が折れている場所

地上付近だけでなく、屋根や軒などの高い位置も確認する必要があります。

危険な高所へ自分で登る必要はありません。安全に確認できない場所は、専門業者や相談窓口へ依頼してください。

3.建物内に残っていないことを確認する

侵入口を見つけても、すぐに封鎖しないでください。

アライグマが内部に残っている状態でふさぐと、別の場所を破壊して脱出しようとしたり、子どもが取り残されたりする可能性があります。

特に春から初夏は、屋根裏や壁の内部で子育てをしている場合があります。農林水産省の資料では、4月中旬ごろが出産のピークで、子どもが野外活動を始めるのは6月上旬ごろとされています。

足跡、音、センサーカメラなどで出入りを確認し、内部に残っていないことを確認してから、金属板や丈夫な板などで封鎖します。樹脂ネットや薄い板だけでは破壊される場合があります。

4.登る行動に対応した柵を使う

アライグマは、柵を掘るよりも登って越える行動を優先する傾向があります。

そのため、一般的なネット柵や金網だけでは十分な効果が得られない場合があります。

農地では、物理柵の上部に電気柵線を組み合わせ、登ろうとした際に接触させる複合柵などが用いられます。設置方法を誤ると効果が低下するだけでなく、感電事故や漏電の原因になるため、製品の説明や専門家の指導に従ってください。

5.早い段階で情報を共有する

アライグマは繁殖力が高く、確認された場所の周辺にも生息している可能性があります。

一件の目撃や被害だけで終わらせず、次の情報を行政や相談窓口へ伝えることが重要です。

  • 目撃日時と場所
  • 動物の写真や動画
  • 足跡や手形
  • 食べられた作物
  • 建物への侵入場所
  • 親子で行動していたか
  • 同じ場所での発生頻度

早期に情報を集めることで、生息範囲の把握や地域単位の対策につながります。環境省も、アライグマ対策では地域で体制を構築し、継続的に防除することを重視しています。(環境省)

6.捕獲や移動を自己判断で行わない

アライグマは特定外来生物ですが、誰でも自由に捕獲できるわけではありません。

自己判断でわなを設置したり、捕獲した個体を自宅へ持ち帰ったり、別の場所へ運んで放したりしないでください。

特定外来生物の飼養、保管、運搬、野外への放出は、外来生物法により原則として規制されています。捕獲が必要な場合は、行政が実施する防除の仕組みや、必要な許可・手続を確認する必要があります。(環境省)

タヌキやハクビシンとの見分け方

アライグマ

  • 目の周囲に黒いアイマスクがある
  • 尾に明瞭なしま模様がある
  • 足跡は5本指で、指が細長い
  • 木登りが得意
  • 前足を使った食痕や泥汚れが残る

タヌキ

  • 目の周囲は黒いが、尾に明瞭なしま模様がない
  • 足跡は基本的に4本指
  • 足跡は犬に近い形をしている
  • 地面を移動することが多い

ハクビシン

  • 鼻から額にかけて白い線がある
  • 尾は長いが、アライグマのような明瞭なしま模様はない
  • 足跡は5本指
  • 電線、屋根、細い足場も利用する

アナグマ

  • 顔に縦方向の黒い模様がある
  • 体が低く、ずんぐりしている
  • 足跡は5本指で、長い爪痕が残る
  • 地面を掘る行動が目立つ
  • 尾に明瞭なしま模様がない

姿だけでなく、足跡、尾、食痕、登った跡、侵入経路を組み合わせて確認してください。

アライグマか分からない場合

動物の姿を直接確認できなくても、足跡、泥の手形、食痕、ふん、侵入場所などから、原因となる動物を整理できる場合があります。

けもの相談所では、写真や被害状況を確認し、必要に応じて現地確認やセンサーカメラによる調査を行います。

危険な場所へ入ったり、動物を追い詰めたりせず、確認できた情報を相談フォームからお知らせください。

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