アナグマは、地面を掘ることを得意とするイタチ科の中型哺乳類です。
山林や林縁、竹林、草地などに巣穴を作り、住宅や農地に近い場所でも確認されることがあります。農地では果実や野菜を食べるほか、ミミズや昆虫を探すために地面を掘り返すことがあります。

アナグマの特徴
体はずんぐりとして平たく、足が短いのが特徴です。
体の大きさは、鼻先から尾の先までおおむね60~90cm程度です。
顔は全体的に白く、頭部から目の下にかけて黒い模様があります。
鼻筋が白いため、ハクビシンやタヌキと間違われることがあります。
前足と後ろ足には、それぞれ5本の指と長く鋭い爪があります。
穴を掘る力が強く、土の中の餌を探したり、斜面などに巣穴を作ったりします。
アナグマの主な痕跡
足跡
アナグマの足跡には、次のような特徴があります。
- 指の跡が5本ある
- 指の先に長い爪の跡が残る
- 足跡が横に広く見える
- 地面の状態によっては、かかとまで跡が残る
ただし、足跡だけでアナグマと断定することはできません。アライグマやハクビシンなど、同じように5本指の足跡を残す動物もいます。
掘り跡
庭や農地に、直径5cm程度の小さな穴が点々と見られる場合は、アナグマがミミズや昆虫などを探した跡の可能性があります。
農地では、柵やネットの下を掘り、内部へ侵入することがあります。長い爪による鋭い掘り跡や、ネットを引き裂いた跡が残る場合もあります。
巣穴
林内の斜面、竹林、草地、石垣、法面などに穴を掘り、ねぐらや繁殖場所として利用します。
穴の周囲に新しい土が出ている、繰り返し足跡が付いている、同じ場所への出入りが確認される場合は、使用中の巣穴である可能性があります。
穴の中をのぞいたり、入口をすぐにふさいだりしないでください。
アナグマによる主な被害
農地・果樹への被害
アナグマは雑食性で、ミミズや昆虫のほか、甘みのある果実なども食べます。
農地では、次のような被害が起こることがあります。
- イチゴ、ブドウ、スイカなどの食害
- 野菜や果実の持ち去り
- 作物周辺の掘り返し
- マルチシートや防護ネットの破損
- 柵の下を掘って侵入する
- 畝や地面を歩き回ることによる損傷
イチゴでは、熟した果実を軸からもぎ取り、ヘタだけを残す事例も確認されています。(農林水産省)
住宅周辺・生活環境への影響
住宅周辺では、次のような状況が見られることがあります。
- 庭や花壇の掘り返し
- 床下や物置周辺への出入り
- 石垣や斜面への穴掘り
- ペットフードや生ごみへの接近
- 同じ通路を繰り返し利用する
アナグマを見かけただけで、直ちに被害が発生しているとは限りません。まずは、足跡、掘り跡、食害、出入りの場所などを確認します。
アナグマへの対策
1.餌になるものを取り除く
アナグマを住宅や農地に引き寄せるものを減らします。
- 生ごみを屋外に放置しない
- ペットフードを夜間に残さない
- 落果や収穫残さを片付ける
- 廃棄する野菜や果実を畑に置かない
- コンポストやごみ容器のふたを固定する
餌を得られる状態が続くと、同じ場所へ繰り返し現れる可能性があります。
2.侵入場所を確認する
柵、ネット、建物の周囲を確認し、次のような場所を探します。
- 柵と地面の隙間
- ネットの破れ
- 掘り返された場所
- 床下や物置の開口部
- 石垣や斜面の穴
- 繰り返し足跡が付いている通路
確認した場所は写真に残しておくと、その後の比較や相談に役立ちます。
3.柵の下部を補強する
アナグマは地面を掘って柵の下から侵入することがあります。
柵を設置する場合は、地面との隙間をなくし、下部を金網や固定具で補強します。掘り返しが続く場所では、金網を地面側へ折り返す、または一部を地中へ入れるなど、下からの侵入を防ぐ対策が必要です。
柔らかいネットだけでは、爪で破られる場合があります。
4.出入りを確認してから封鎖する
床下、物置、石垣、法面などの穴を封鎖する場合は、内部に動物が残っていないことを確認してください。
活動中の巣穴や子どもがいる穴を不用意にふさぐと、動物の閉じ込め、別の場所の破壊、死骸や臭いの発生につながるおそれがあります。
判断できない場合は、すぐに封鎖せず、センサーカメラや足跡などで利用状況を確認します。
5.捕獲は自己判断で行わない
野生鳥獣の捕獲や殺傷は、適法な狩猟や許可を受けた捕獲などを除き、原則として規制されています。
市販のわなを自己判断で設置したり、捕獲した個体を別の場所へ運んだりしないでください。捕獲が必要と考えられる場合は、行政機関やけもの相談所へ相談してください。(環境省)
タヌキやハクビシンとの見分け方
アナグマは、タヌキやハクビシンと姿が似ています。
見分ける際は、姿だけでなく、足跡、爪痕、掘り跡、食害、移動経路、センサーカメラの映像などを組み合わせて確認します。
特に、次の特徴がある場合はアナグマの可能性があります。
- 体が低く、横に平たい
- 白い顔に黒い縦方向の模様がある
- 5本の指と長い爪の跡がある
- 地面に小さな掘り跡が点在している
- 柵の下が掘られている
一つの特徴だけで動物種を断定しないでください。
相談するときに確認したいこと
アナグマと思われる動物や痕跡を見つけた場合は、可能な範囲で次の情報を記録してください。
- 発見した日時と場所
- 動物の写真や動画
- 足跡や掘り跡の写真
- 被害を受けた作物や場所
- 出入りしていると思われる経路
- 被害が始まった時期
- 発生する時間帯や頻度
- これまでに行った対策
危険な場所へ入ったり、動物へ近づいたりして撮影する必要はありません。
アナグマか分からない場合
動物の姿を直接確認できなくても、足跡、掘り跡、食害、ふん、侵入場所などから、原因となる動物を整理できる場合があります。
けもの相談所では、写真や被害状況を確認し、必要に応じて現地確認やセンサーカメラによる調査を行います。