アライグマの特徴と対策

アライグマは北米原産の中型哺乳類で、日本では特定外来生物に指定されています。

目の周囲を覆う黒い模様、白いひげ、しま模様のある尾が代表的な特徴です。前足の指を人の手のように器用に使い、木や建物を登る能力にも優れています。農作物への被害だけでなく、家屋への侵入や在来生物への影響も問題となっています。

アライグマの特徴

体は灰褐色で、成獣は中型犬ほどの大きさになることがあります。

見分ける際の主な特徴は、次のとおりです。

  • 目の周囲に黒いアイマスク状の模様がある
  • 口元とひげが白い
  • 尾に5~7本程度の明瞭なしま模様がある
  • 前足と後ろ足に、それぞれ5本の指がある
  • 指が長く、人の手のように見える
  • 木登りや建物を登ることが得意

夜間を中心に活動しますが、昼間に活動することもあります。屋根裏、壁の隙間、樹洞、神社や寺院などを休息や子育ての場所として利用します。

アライグマの主な痕跡

足跡

アライグマの足跡には、次のような特徴があります。

  • 指の跡が5本ある
  • 指が細長く、手のひらのように見える
  • 指の跡がそれぞれ独立して残りやすい
  • 前足と後ろ足で形や大きさが異なる
  • 泥の上では、人の小さな手形のように見えることがある

アナグマやハクビシンも5本指の足跡を残します。足跡だけで断定せず、尾の模様、食べ方、侵入場所、センサーカメラの映像なども組み合わせて確認します。

泥や汚れの跡

アライグマは前足を器用に使うため、建物や農作物に手形のような汚れが残ることがあります。

雨どい、柱、壁、果樹の幹、ぶどう棚などに泥の跡が付いている場合は、登った経路である可能性があります。

ただし、アライグマは爪だけに頼らずに登るため、はっきりとした爪痕が残らない場合もあります。

食痕

アライグマの食害には、前足を使った特徴的な痕跡が残ることがあります。

ぶどうでは、袋を裂いて中の果実を食べ、袋や果実に泥汚れが残ることがあります。

スイカでは、直径5~6cm程度の穴を開け、前足を入れて中身をくり抜くように食べることがあります。果樹に登った際に、枝が折れる被害も発生します。

ふん

アライグマは、同じ場所に繰り返しふんをすることがあります。

ただし、ふんの色や形は食べたものや季節によって変わります。果実の種、昆虫の一部、動物の毛などが含まれる場合がありますが、ふんだけで動物種を断定することはできません。

ふんには寄生虫や病原体が含まれる可能性があります。素手で触れたり、乾燥したふんをほうきで掃いて舞い上げたりしないでください。

アライグマによる主な被害

農地・果樹への被害

アライグマは雑食性で、果実、野菜、穀類、昆虫、小動物など、さまざまなものを食べます。

農地では、次のような被害が起こることがあります。

  • ぶどう、イチゴ、スイカ、トウモロコシなどの食害
  • 果実袋の破損
  • 果樹への登攀による枝折れ
  • ネットや柵の破損
  • 農作物への泥汚れ
  • 養魚、家畜飼料、鶏卵などへの被害

アライグマは登る能力が高いため、一般的なネットや金網だけでは侵入を防げない場合があります。

家屋への侵入

住宅、物置、倉庫、神社、寺院などでは、次のような被害が起こることがあります。

  • 屋根裏や壁の内部への侵入
  • ふん尿による天井の染みや悪臭
  • 断熱材や建材の破損
  • 足音や鳴き声
  • 軒、通風口、屋根の隙間の拡大
  • 子育て場所としての継続利用

床下の通風口、壊れた軒、瓦屋根の隙間、増築部分の継ぎ目などが侵入口として利用されます。

生態系への影響

アライグマは農作物だけでなく、両生類、爬虫類、鳥類、昆虫などの在来生物も捕食します。

そのため、単なる家屋侵入や農業被害の問題ではなく、地域の生態系へ影響を及ぼす外来生物として対策が必要です。

アライグマへの対策

1.餌になるものを取り除く

アライグマを住宅や農地へ引き寄せるものを減らします。

  • 生ごみを屋外に放置しない
  • ペットフードを夜間に残さない
  • 落果や収穫残さを片付ける
  • 廃棄する野菜や果実を農地に置かない
  • 飼料や米ぬかを密閉して保管する
  • コンポストやごみ箱のふたを固定する
  • 利用していない果樹を放置しない

農地や住宅周辺に食べ物が残っていると、継続的な餌場として利用されます。捕獲だけを行っても、餌場が残れば別の個体が来る可能性があります。

2.侵入経路を確認する

建物や農地の周囲を確認し、次のような場所を探します。

  • 床下の通風口
  • 壊れた軒や屋根
  • 瓦や外壁の隙間
  • 配管や増築部分の継ぎ目
  • 雨どい、柱、樹木
  • 柵やネットの破損
  • 泥の手形や足跡が集中している場所
  • 繰り返し枝が折れている場所

地上付近だけでなく、屋根や軒などの高い位置も確認する必要があります。

危険な高所へ自分で登る必要はありません。安全に確認できない場所は、専門業者や相談窓口へ依頼してください。

3.建物内に残っていないことを確認する

侵入口を見つけても、すぐに封鎖しないでください。

アライグマが内部に残っている状態でふさぐと、別の場所を破壊して脱出しようとしたり、子どもが取り残されたりする可能性があります。

特に春から初夏は、屋根裏や壁の内部で子育てをしている場合があります。農林水産省の資料では、4月中旬ごろが出産のピークで、子どもが野外活動を始めるのは6月上旬ごろとされています。

足跡、音、センサーカメラなどで出入りを確認し、内部に残っていないことを確認してから、金属板や丈夫な板などで封鎖します。樹脂ネットや薄い板だけでは破壊される場合があります。

4.登る行動に対応した柵を使う

アライグマは、柵を掘るよりも登って越える行動を優先する傾向があります。

そのため、一般的なネット柵や金網だけでは十分な効果が得られない場合があります。

農地では、物理柵の上部に電気柵線を組み合わせ、登ろうとした際に接触させる複合柵などが用いられます。設置方法を誤ると効果が低下するだけでなく、感電事故や漏電の原因になるため、製品の説明や専門家の指導に従ってください。

5.早い段階で情報を共有する

アライグマは繁殖力が高く、確認された場所の周辺にも生息している可能性があります。

一件の目撃や被害だけで終わらせず、次の情報を行政や相談窓口へ伝えることが重要です。

  • 目撃日時と場所
  • 動物の写真や動画
  • 足跡や手形
  • 食べられた作物
  • 建物への侵入場所
  • 親子で行動していたか
  • 同じ場所での発生頻度

早期に情報を集めることで、生息範囲の把握や地域単位の対策につながります。環境省も、アライグマ対策では地域で体制を構築し、継続的に防除することを重視しています。

6.捕獲や移動を自己判断で行わない

アライグマは特定外来生物ですが、誰でも自由に捕獲できるわけではありません。

自己判断でわなを設置したり、捕獲した個体を自宅へ持ち帰ったり、別の場所へ運んで放したりしないでください。

特定外来生物の飼養、保管、運搬、野外への放出は、外来生物法により原則として規制されています。捕獲が必要な場合は、行政が実施する防除の仕組みや、必要な許可・手続を確認する必要があります。

タヌキやハクビシンとの見分け方

アライグマ

  • 目の周囲に黒いアイマスクがある
  • 尾に明瞭なしま模様がある
  • 足跡は5本指で、指が細長い
  • 木登りが得意
  • 前足を使った食痕や泥汚れが残る

タヌキ

  • 目の周囲は黒いが、尾に明瞭なしま模様がない
  • 足跡は基本的に4本指
  • 足跡は犬に近い形をしている
  • 地面を移動することが多い

ハクビシン

  • 鼻から額にかけて白い線がある
  • 尾は長いが、アライグマのような明瞭なしま模様はない
  • 足跡は5本指
  • 電線、屋根、細い足場も利用する

アナグマ

  • 顔に縦方向の黒い模様がある
  • 体が低く、ずんぐりしている
  • 足跡は5本指で、長い爪痕が残る
  • 地面を掘る行動が目立つ
  • 尾に明瞭なしま模様がない

姿だけでなく、足跡、尾、食痕、登った跡、侵入経路を組み合わせて確認してください。

アライグマか分からない場合

動物の姿を直接確認できなくても、足跡、泥の手形、食痕、ふん、侵入場所などから、原因となる動物を整理できる場合があります。

けもの相談所では、写真や被害状況を確認し、必要に応じて現地確認やセンサーカメラによる調査を行います。

危険な場所へ入ったり、動物を追い詰めたりせず、確認できた情報を相談フォームからお知らせください。

[フォームから相談する]

note用の記事とハッシュタグを作成して。

尾のしま模様だけではない。アライグマを見分けるための痕跡と対策

夜、庭や畑に見慣れない動物が現れた。
屋根裏から足音がする。
果実が荒らされ、泥の付いた手形のような跡が残っている。

こうした状況では、アライグマが関わっている可能性があります。

アライグマは、目の周囲の黒い模様や、しま模様のある尾がよく知られています。しかし、実際の鳥獣被害では、動物の姿をはっきり確認できることは多くありません。

重要なのは、姿だけでなく、

  • 足跡
  • 食べ方
  • 泥や汚れの跡
  • 建物への侵入経路
  • ふん
  • センサーカメラの映像

などを組み合わせて判断することです。

この記事では、アライグマの特徴と、被害現場に残りやすい痕跡、基本的な対策について整理します。


アライグマはどんな動物か

アライグマは北米原産の中型哺乳類です。

日本では野外で繁殖し、農作物、建物、地域の生態系に影響を及ぼすことから、特定外来生物に指定されています。

代表的な特徴は次のとおりです。

  • 目の周囲に黒いアイマスクのような模様がある
  • 口元やひげの周辺が白い
  • 尾に明瞭なしま模様がある
  • 前足と後ろ足に5本の指がある
  • 前足の指を器用に使う
  • 木や建物に登る能力が高い

夜間を中心に活動しますが、状況によっては昼間に姿を見せることもあります。

住宅の屋根裏、壁の内部、物置、倉庫、神社や寺院などを、休息場所や子育ての場所として利用することがあります。


足跡は「小さな手形」のように見える

アライグマを見分けるうえで、特徴的なのが足跡です。

指の跡は5本で、細長く、人の小さな手形のように見えることがあります。

泥や湿った土の上では、指が一本ずつ比較的はっきり残る場合があります。

ただし、5本指の足跡を残す動物はアライグマだけではありません。

ハクビシンやアナグマも5本指の足跡を残すため、足跡だけで断定するのは危険です。

足跡を見るときは、次の点も確認します。

  • 指が細長いか
  • 爪の跡がどの程度残っているか
  • 前足と後ろ足で形が違うか
  • 足跡が建物や樹木の方向へ続いているか
  • 周囲に食害や泥汚れがないか

一つの特徴ではなく、複数の痕跡をつなげて考えることが重要です。


前足を使った痕跡が残りやすい

アライグマは、前足を人の手のように器用に使います。

このため、被害現場には独特の痕跡が残ることがあります。

例えば、泥の付いた前足で建物や果樹に触れた場合、壁、柱、雨どい、木の幹などに手形のような汚れが残ることがあります。

農作物でも、ただかじるだけではなく、前足を使って袋を破ったり、中身を取り出したりすることがあります。

こうした「前足を使った形跡」は、アライグマを疑う重要な材料になります。


食べ方にも特徴が出る

アライグマは雑食性で、果実、野菜、穀類、昆虫、小動物など、さまざまなものを食べます。

被害が出やすい作物には、次のようなものがあります。

  • ブドウ
  • イチゴ
  • スイカ
  • トウモロコシ
  • 果樹類
  • 鶏卵
  • 養魚
  • 家畜飼料

ブドウでは、袋を裂いて中の果実を食べることがあります。

スイカでは、穴を開けて前足を入れ、中身をくり抜くように食べることがあります。

また、果樹や棚へ登る際に、枝が折れたり、果実に泥が付いたりすることもあります。

食べられた作物だけでなく、

  • 穴の開き方
  • 袋の破られ方
  • 泥汚れ
  • 枝折れ
  • 柵やネットへの接触痕

まで確認すると、動物種を整理しやすくなります。


屋根裏や壁の中にも侵入する

アライグマによる被害は、農地だけではありません。

住宅や物置などに侵入し、屋根裏や壁の内部を利用することがあります。

侵入口になりやすい場所としては、次のような箇所があります。

  • 壊れた軒
  • 瓦や屋根材の隙間
  • 床下の通風口
  • 外壁の破損箇所
  • 配管周辺
  • 増築部分の継ぎ目
  • 雨どいや柱
  • 建物に接している樹木

建物内に侵入すると、足音、鳴き声、ふん尿、悪臭、天井の染み、断熱材の破損などが起こることがあります。

地上だけでなく、高い位置の侵入口も確認する必要があります。

ただし、屋根や高所へ無理に登って確認することは避けてください。


ふんは素手で触らない

アライグマは、同じ場所に繰り返しふんをすることがあります。

ただし、ふんの形や色は、食べたものや季節によって変わります。

果実の種、昆虫の一部、毛などが含まれることもありますが、ふんだけでアライグマと断定することはできません。

また、野生動物のふんには、寄生虫や病原体が含まれる可能性があります。

確認する場合は、

  • 素手で触らない
  • 顔を近づけない
  • 乾燥したふんをほうきで強く掃かない
  • 子どもやペットを近づけない

といった対応が必要です。

写真を撮る場合も、安全な距離を保ってください。


タヌキやハクビシンとの違い

アライグマは、タヌキやハクビシンと間違われることがあります。

アライグマ

  • 目の周囲に黒い模様がある
  • 尾に明瞭なしま模様がある
  • 足跡は5本指
  • 指が細長い
  • 前足を使った食痕や泥汚れが残りやすい
  • 木や建物へ登る

タヌキ

  • 目の周囲は黒い
  • 尾に明瞭なしま模様はない
  • 足跡は基本的に4本指
  • 犬に近い形の足跡
  • 地上を移動することが多い

ハクビシン

  • 鼻から額にかけて白い線がある
  • 尾は長い
  • 尾にアライグマのような明瞭なしま模様はない
  • 足跡は5本指
  • 電線、屋根、細い足場も利用する

姿を見ただけで断定せず、足跡、尾の模様、移動経路、食べ方、建物への侵入場所を組み合わせて判断します。


対策の第一歩は、餌をなくすこと

アライグマが繰り返し現れる場所には、何らかの理由があります。

最初に確認したいのは、餌になるものが残っていないかです。

  • 生ごみ
  • ペットフード
  • 落果
  • 収穫残さ
  • 廃棄した野菜
  • 飼料
  • 米ぬか
  • コンポスト
  • 放置された果樹

一度餌を得られた場所は、継続して利用される可能性があります。

捕獲だけを行っても、餌場や侵入しやすい環境が残っていれば、別の個体が現れることがあります。

そのため、

餌を減らす
侵入経路を確認する
侵入を防ぐ
必要に応じて捕獲を検討する

という順番で考えることが重要です。


侵入口は、すぐにふさがない

建物の隙間や侵入口を見つけると、すぐに封鎖したくなります。

しかし、建物内にアライグマが残っている状態でふさぐと、問題が悪化する場合があります。

  • 別の場所を壊して脱出しようとする
  • 子どもが取り残される
  • 建物内で死んで悪臭が発生する
  • 新たな侵入口を作られる

特に繁殖期には、屋根裏などに子どもがいる可能性があります。

侵入口を封鎖する前に、

  • 出入りしている時間帯
  • 足跡や泥汚れ
  • 建物内の物音
  • センサーカメラの映像
  • 親子で行動していないか

などを確認します。

内部に動物がいないことを確認してから、丈夫な材料で封鎖します。


柵は「登られる前提」で考える

アライグマは木登りや柵登りが得意です。

一般的なネットや金網だけでは、登って越えられる場合があります。

農地では、物理柵と電気柵を組み合わせる方法などが使われることがあります。

ただし、電気柵は設置方法を誤ると、効果が低下するだけでなく、漏電や事故につながるおそれがあります。

高さだけでなく、

  • 柵の材質
  • 支柱との隙間
  • 上部の構造
  • 周囲の樹木や棚
  • 地面との接点
  • 電線の位置

まで含めて考える必要があります。


アライグマは見つけた後の情報共有が重要

アライグマは、農作物や家屋に被害を与えるだけでなく、在来の生き物にも影響を及ぼします。

一か所で確認された場合、周辺にも生息している可能性があります。

そのため、一件の目撃や被害を個別の出来事で終わらせず、情報として残すことが重要です。

記録しておきたい内容は次のとおりです。

  • 目撃した日時
  • 場所
  • 写真や動画
  • 足跡
  • 泥の手形
  • 食べられた作物
  • 侵入口
  • 親子でいたか
  • 発生頻度
  • これまでに行った対策

情報が集まることで、地域内の生息状況や被害傾向が見えやすくなります。


特定外来生物でも、自由に捕獲できるわけではない

アライグマは特定外来生物ですが、誰でも自由に捕獲してよいわけではありません。

市販のわなを自己判断で設置したり、捕獲した個体を別の場所へ移動させたり、野外へ放したりしないでください。

捕獲や運搬には、法令や自治体の防除体制に基づく手続が必要となる場合があります。

アライグマらしい痕跡を確認した場合は、まず行政機関や地域の相談窓口へ情報を共有することが必要です。


大切なのは、動物の名前を当てることだけではない

アライグマかどうかを見分けることは、対策を考えるうえで重要です。

しかし、動物種が分かっただけでは、被害は解決しません。

  • なぜその場所に来ているのか
  • 何を食べているのか
  • どこから侵入しているのか
  • どの時間帯に利用しているのか
  • 同じ被害が周辺でも起きていないか

まで整理する必要があります。

動物を見つけることがゴールではありません。

被害の原因を確認し、同じ場所が繰り返し利用されにくい環境に変えていくことが、長期的な対策につながります。


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イタチ・テンのホームページ用記事を作成して

イタチ・テンの特徴と対策

イタチやテンは、細長い体と短い脚を持つイタチ科の野生動物です。

夜間を中心に活動し、床下、天井裏、物置、倉庫などを休息場所や子育ての場所として利用することがあります。姿を見ていなくても、天井裏の足音、ふん尿の臭い、断熱材の乱れなどから侵入に気付く場合があります。

イタチとテンは姿や痕跡が似ており、写真や足跡だけでは区別できないことがあります。動物の大きさ、毛色、尾の長さ、足跡、ふん、侵入経路、センサーカメラの映像などを組み合わせて確認します。

イタチの特徴

日本で見られるイタチ類には、在来種のニホンイタチや、主に西日本に分布するシベリアイタチなどがいます。

ニホンイタチは、細長い体をした小型の動物です。全身は黄褐色から山吹色で、額から鼻にかけて濃い色の模様があります。雄は雌より大きく、成獣では尾の長さが頭胴長の半分を超えないことが、シベリアイタチとの識別材料の一つになります。

主にネズミ、カエル、鳥類、昆虫、魚類などを食べます。水辺や草地、農地周辺などで見られるほか、小型の動物や餌を求めて住宅や鶏舎の周辺に現れることがあります。

テンの特徴

テンはイタチよりも一回り大きく、頭胴長はおおむね40~45cm、尾は20cm前後です。

季節によって毛色が変化し、夏は顔が黒っぽく、体は茶褐色になります。冬は顔が白っぽくなり、体が明るい黄色になる個体がいます。ただし、個体によって毛色の違いが大きいため、色だけで断定することはできません。

森林や林縁部をよく利用し、木登りが得意です。太い木を登るほか、細い枝やワイヤーを渡り、木から建物の屋根へ移動することもあります。樹洞だけでなく、住宅の屋根裏や物置を利用する場合があります。

イタチ・テンの主な痕跡

足跡

イタチやテンの足には5本の指があります。

ただし、地面の状態によってはすべての指が残らず、4本指のように見える場合もあります。足跡は小さく、前後の足跡が重なることもあるため、足跡だけで動物種を特定するのは困難です。

足跡の大きさ、歩き方、周辺のふん、毛、侵入場所なども併せて確認します。

ふん

イタチ科の動物のふんは、細長く、ねじれたり、先端が細くなったりすることがあります。

食べたものによって、動物の毛、昆虫の一部、果実の種などが含まれる場合があります。天井裏、物置、石や目立つ場所などにふんが残ることもあります。

ふんの形や色は、季節や食べたものによって変わるため、ふんだけでイタチやテンと断定しないでください。

足音や物音

天井裏では、走り回る音、物を引っかく音、鳴き声などが聞こえることがあります。

イタチやテンはネズミより体が大きいため、足音が比較的大きく聞こえる場合があります。ただし、音だけではハクビシン、アライグマ、ネズミなどとの区別はできません。

発生する時間帯、音が移動する範囲、ふんの大きさ、侵入口などを確認します。

臭いと天井の染み

同じ場所でふん尿が繰り返されると、強い臭いや天井の染みが発生することがあります。

断熱材が汚れたり、寝床として押しつぶされたりする場合もあります。ふん尿を長期間放置すると、建材の劣化や衛生上の問題につながる可能性があります。

イタチ・テンによる主な被害

家屋への侵入

住宅では、次のような被害が起こることがあります。

  • 床下や天井裏への侵入
  • 夜間の足音や鳴き声
  • ふん尿による悪臭や天井の染み
  • 断熱材や収納物の汚損
  • ノミやダニなどの持込み
  • 子育て場所としての継続利用
  • 餌となる動物の持込み

侵入口としては、床下換気口、軒の破損部分、屋根の重なり、瓦の隙間、配管の引込み部分、増改築部分の継ぎ目などが利用されます。

農地・果樹への被害

テンは雑食性で、果実、昆虫、小型の脊椎動物などを食べます。

ブドウ、カキ、イチゴなどの食害が報告されており、カキなどを持ち去って別の場所で食べることがあります。ブドウでは袋を破り、その場で食べる場合があります。

ただし、果実の被害だけでは、ハクビシン、アライグマ、タヌキなどとの区別はできません。食べ方、足跡、登った経路、センサーカメラの映像などを確認します。

鶏や小動物への被害

イタチやテンは、鶏舎や小動物の飼育施設へ侵入し、鶏、ひな、卵などに被害を与えることがあります。

細い隙間から入り込むだけでなく、テンは柵やネットを登って侵入することがあります。鶏舎では、壁や扉だけでなく、屋根、換気口、ネットの上部まで確認する必要があります。

イタチ・テンへの対策

1.侵入口を確認する

最初に、どこから建物や施設へ侵入しているのかを確認します。

確認する場所は次のとおりです。

  • 床下換気口
  • 軒や屋根の破損部分
  • 瓦や外壁の隙間
  • 配管や電線の引込み部分
  • 増築部分の継ぎ目
  • 扉やシャッターの下
  • 鶏舎や物置のネット
  • 建物に接している樹木や物置
  • 雨どい、支線、棚を支えるワイヤー

泥汚れ、毛、ふん、足跡、擦れた跡などが集中している場所は、侵入経路として使われている可能性があります。

危険な屋根や高所へ無理に登らないでください。

2.内部に残っていないことを確認する

侵入口を見つけても、すぐにふさいではいけません。

動物や子どもが内部に残った状態で封鎖すると、別の場所を壊して脱出しようとしたり、建物内で死亡して悪臭が発生したりするおそれがあります。

足跡、物音、ふんの新しさ、センサーカメラなどで出入りを確認し、内部に残っていないことを確認してから封鎖します。

3.小さな隙間まで丈夫な材料でふさぐ

イタチ類は非常に小さな隙間を利用します。シベリアイタチでは、約3cmの穴や隙間から建物へ侵入する例が示されています。

テンも、飼育個体が5cm角のワイヤーメッシュを通り抜けた例があります。そのため、「大きな穴だけをふさぐ」のではなく、小さな隙間まで点検する必要があります。

封鎖には、金網、金属板、丈夫な板などを使います。薄い合板や樹脂製ネットだけでは、破損したり、押し広げられたりする可能性があります。

4.屋根へつながる経路を減らす

テンは木登りや跳躍が得意で、樹木、物置、雨どい、電線、ワイヤーなどを利用して屋根へ移動します。

建物に接する枝を剪定する、物置や資材を壁から離す、棚や支線から屋根へ渡れないようにするなど、侵入経路を減らします。

農林水産省の資料では、テンは約2mの幅跳びが可能とされているため、建物周辺の樹木や構造物との距離も確認する必要があります。

5.餌になるものを管理する

住宅や農地の周囲に餌となるものがあると、繰り返し現れる原因になります。

  • ペットフードを屋外に残さない
  • 生ごみを放置しない
  • 落果や収穫残さを片付ける
  • 鶏や小動物の餌を密閉する
  • 鶏卵を長時間放置しない
  • 放任果樹を管理する
  • ネズミが増えにくい環境を整える

捕獲だけでなく、餌場と休息場所を減らすことが、継続的な被害対策になります。

6.ふん尿は安全に清掃する

野生動物のふん尿には、病原体、寄生虫、ノミ、ダニなどが含まれる可能性があります。

清掃する場合は、手袋とマスクを着用し、素手で触れないようにします。乾燥したふんを強く掃いて舞い上げることも避けてください。

広範囲にふん尿がある場合や、天井裏など安全に作業できない場所では、専門業者への依頼を検討します。

7.捕獲を自己判断で行わない

野生鳥獣の捕獲や殺傷は、適法な狩猟や許可を受けた捕獲などを除き、原則として禁止されています。

市販のわなを自己判断で設置したり、捕獲した動物を別の場所へ運んだりしないでください。捕獲が必要と考えられる場合は、行政機関やけもの相談所へ相談してください。

イタチとテンの見分け方

イタチの可能性が高い特徴

  • テンより体が小さい
  • 体が細く、脚が短い
  • 黄褐色から山吹色に見える
  • 尾が比較的短い
  • 地面や水辺を移動することが多い
  • 非常に小さな隙間を利用する

テンの可能性が高い特徴

  • イタチより一回り大きい
  • 尾が太く、長く見える
  • 耳が比較的目立つ
  • 夏と冬で顔や体の色が変わる
  • 木、屋根、ワイヤーなど高い場所を利用する
  • 果実を食べたり、持ち去ったりする

ただし、体の大きさ、毛色、季節、撮影条件によって見え方は変わります。一つの特徴だけで断定しないでください。

イタチ・テンか分からない場合

動物の姿を確認できなくても、足跡、ふん、毛、足音、侵入口、食痕などから、原因となる動物を整理できる場合があります。

可能な範囲で、次の情報を記録してください。

  • 発見した日時と場所
  • 動物の写真や動画
  • 足跡やふんの写真
  • ふんのおおよその大きさ
  • 足音がする時間帯
  • 建物の侵入口と思われる場所
  • 食べられた作物や飼育動物
  • 被害が始まった時期
  • これまでに行った対策

けもの相談所では、写真や被害状況を確認し、必要に応じて現地確認やセンサーカメラによる調査を行います。