シカは塩水に寄ってくる?~耕作放棄地で始めた秋の観察とセンサーカメラの設置~

2026年9月17日、草を刈って整備した耕作放棄地に、岩塩の量を変えた4つの容器を設置しました。

今回確かめたいのは、「この場所、この季節にシカが塩水を利用するのか」、そして「雨水を使えば現場での管理の手間を減らせるのか」という2点です。

まずは10月中旬ごろまで、センサーカメラで様子を記録します。

前回の整備については、耕作放棄地の茶畑を刈る~緩衝地帯づくりの第一歩~で紹介しています。

実験の様子
実験の様子

塩水に注目したきっかけ

シカの捕獲方法には、行動の特徴を利用する「小林式誘引捕獲法」があります。(方法の詳しい説明は林野庁の紹介ページをご覧ください。)

以前受講した林野庁の研修でも、ヘイキューブと塩水を利用した誘引について実地で説明を受けました。

シカと塩水の関係性に関しては、森林総合研究所の研究発表が参考になります。

この研究では、メスジカが春から初夏に食塩水をよく飲むことが示されており、授乳期のナトリウム要求量との関係が考えられています。
今回の観察は秋なので、同じ反応が出ると決めつけず現場で確認しながら進めていきます。

シカと塩類の関係を、地域と季節から考える

先輩から「シカが道路にまかれた融雪剤や線路をなめる」という話を聞いたことがあります。

こうした話は、シカがどこからミネラルを得ているのかを考えるきっかけになります。ただし、個々の行動の理由を、塩分不足だけで説明できるわけではありません。

また、南アルプスで多数のシカが撮影されたニュースを見て、大鹿村のような塩のある環境と繁殖率に関係があるのではないかと思いました。

ただし、塩とシカの繁殖率に因果関係があると示されたわけではありません。
生息環境や餌資源、積雪、捕獲圧など、さまざまな要因を分けて考える必要があります。

岩塩の量を変えた4つの容器を設置

今回の実験で用意したのは4Lのプラスチック容器4つです。
岩塩の量を変え、塩を入れない容器も置いて反応の違いを見ます。

容器入れた岩塩の量
A0g(塩なし)
B50g
C150g
D300g

容器に塩を入れ、自然にたまる雨水で溶かす運用を考えています。
毎回水を運ばずに済むなら、現場で続けやすくなるかもしれません。

4Lは容器の容量で、水を4Lずつ入れたという意味ではありません。
雨量や水位によって濃度が変わるため、上の表は「塩分濃度の比較」ではなく「入れた岩塩の量の違い」です。どの容器を利用したかに加え、そのときの水の状態も記録していきます。

塩水の観察実験に関する現場写真
塩水の観察実験に関する現場写真
木杭で固定した容器。左から岩塩150g、50g、0g、300g
木杭で固定した容器。左から岩塩150g、50g、0g、300g

カメラで記録するのは「現れた」だけではない

センサーカメラでは、シカが現れた時刻、どの容器に近づいたか、実際に口をつけたか、繰り返し訪れるかを確認します。

また、今後は容器を8Lのバケツへ変更する予定です。

容器を替えると深さや飲みやすさも変わるため、変更日を残し、変更前後の記録を混ぜないようにします。塩の量以外にも違いが生じるので、単純に「この量が最もよい」と結論づけないことが大切です。

トレイルカメラの撮影画面
トレイルカメラの撮影画面

観察を支える道具:トレイルカメラとクランプ

今回の実験では、4Lのメダカ飼育容器、岩塩、木杭、センサーカメラとスーパークランプなどを利用しています。

動物の状況をみるためにセンサーカメラは必須ですが、見たい範囲を安定して撮影するためのクランプも重要です。

KJK トレイルカメラ

人がその場にいない時間帯の動きを記録するためのカメラです。

今回のような観察では、画素数だけでなく、容器とシカの口元が見える画角、夜間の見え方、撮影間隔、電池や記録媒体の管理が確認点になります。

KJK トレイルカメラ
下記は利用している、KJKのトレイルカメラの商品リンクです。


このセンサーカメラは、スマホアプリ「TrailCam Go」と、スマホのBluetooth+Wi-Fiを利用して通信します。

重要なのは、インターネット経由で通信する方式ではなく、センサーカメラとスマホがWi-Fiで直接通信する方式だという点です。
そのため、携帯電話の電波が届かない山間部でも利用でき、撮影した動画もスマホへ直接ダウンロードできます。

また、スマホアプリ「TrailCam Go」を利用することで、SDカードを抜き差しすることなく、アプリから動画をダウンロードできます。さらに、アプリ上からセンサーカメラの設定変更や状態確認も行えます。

これまでに10台以上購入していますが、初期不良はありませんでした。
雨ざらしになる森林や畑に設置していても問題なく動作し、夜間撮影にも利用できているため、現場で使いやすい製品だと感じています。

Ulanzi スーパークランプ

このクランプはKJKトレイルカメラに簡単に取り付けられ、既存の柱などに設置ができ、またアングル調整・画角調整も行える便利な道具です。

スーパークランプを使ったセンサーカメラの設置
スーパークランプを使ったセンサーカメラの設置

KJKトレイルカメラに同封されているストラップでも、樹木や柱に問題なく固定できるのですが、微妙なアングル調整を行うことが困難です。

上記のように、撮影対象と水平にカメラを設置するように推奨されていますが、実際のところ森林や畑の低層部には草が繁茂していることが多く、このような形ではなかなか設置できません。


そういった場所で、イボ竹やミニ単管パイプを仮設し、このクランプを利用すると、簡単にトレイルカメラが設置でき、アングル設定なども容易にできるのでおすすめです。

Ulanzi スーパークランプ
カメラの固定位置と画角を調整するためのアクセサリー。

まずは1か月

最初の観察期間は9月17日から10月中旬ごろまでです。

森林総合研究所の研究では、設置してから約1か月はほとんど飲みに来なかったことも報告されています。短期間の反応だけで判断せず、季節や設置場所、容器への警戒なども考えながら進めていきます。

草を刈って終わりにせず、整備した場所で動物の行動を記録し、次の対策を考える。塩水を利用するのか、雨水だけで管理できるのか、秋でも反応するのか。
まずは、この現場での観察を積み重ねていきます。

※本記事は現場での観察記録であり、住宅や道路の近くなどでシカを誘引することを勧めるものではありません。

※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。Amazonのアソシエイトとして、けもの相談所は適格販売により収入を得ています。

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